傷はぜったい消毒するな by 夏井睦





成毛さんのオススメだったので読んでみました。知って良かったです。次ケガしたら絶対試してみるよ!

ケガをしたら「消毒して乾かす」というのが常識だとされていますが、最近はどうやら間違いだったことが分かってきたようです。早く綺麗に痛くなく治すには「湿潤治療」が良いそうです。著者は従来の治療法が「大間違いだった」ということをケチョンケチョンにやっつけます。ちなみに、この人れっきとしたお医者さんですからw。宗教やオカルトじゃないですよ!

著者のサイト http://www.wound-treatment.jp/
ジョンソンアンドジョンソン 傷パワーパット http://www.jnj.co.jp/consumer/bandaid/products/medicaltools/

ググッてみても、自転車乗りがキズを早く治すためにもはや常識だとか、自分で人体実験してみた人とか、こんだけサンプルあれば、こりゃもう本当だと思わないわけにいかないですよね?

人間の体は、自前で傷を治すメカニズムを持っていて、それがあの傷口のジュクジュクだったのだ。この傷のジュクジュクはいわば、人体細胞の最適の培養液なのである。だから傷口が常にジュクジュクで覆われるようにしてやれば、傷は簡単に治ってしまうのだ。(P.28)

想い出すと、赤チン、ヨーチン、オキシフルとか痛かったですよねぇ><;
ヤケドとかもガーゼでヒリヒリしましたよね?消毒による「しみる」「痛い」というのは、皮膚が上げてる悲鳴だったみたいです。湿潤療法では、痛みもほとんど無いみたいですよ。 ^^V

【湿潤治療とは?】 要するに以下のようなことのようです。
・傷口に分泌されているジュクジュク、つまり滲出液が外にこぼれないように「水を通さないもの、空気を通さないもの」で覆ってやればよい。そうすれば傷の表面は常に滲出液で潤った状態になって乾燥しなくなり、傷表面のさまざまな細胞は活発に分裂し、傷はどんどん治ってしまう。
・キズの上を覆うものは ①傷にくっつかない ②滲出液(=細胞成長因子)を外に逃さない この2つの条件をクリアしていれば十分。それが「食品包装用ラップ(=サランラップかよwww)」だ。更に ③ある程度水分(=滲出液)吸収能力がある。という条件が加わればベスト。
・これら3点を備えた「創傷被覆材」として、「キズパワーパッド(ハイドロコロイド)」

「プラスモイスト(インターネット通販)」等が一般でも購入できるそうな。

【傷の正しい直し方】 大ざっぱに言うと、こんな感じみたいです。
・キズを洗う → 水道水で洗う( 塩素程度はおkなんだそうだ)、糖分なしなら、ペットボトルのお茶でも、川の流水でも良い。
・汚れを拭き取る → タオル、ティッシュ、ガーゼ等で血液や汚れを拭き取る。
・ キズを覆う → 被覆材(プラスモイスト、ハイドロコロイド、食品包装用ラップ(ポリエチレン系)、白色ワセリン)で覆い乾燥しないようにする。
・その他 → 絆創膏や包帯などで、被覆材を止める。

【何故あまり知られてないのか?】
ところで、明らかに効果のある、安価なソリューションですが、あんまり知られてないですよね?
実際のお医者さんでも、この治療を積極的にやってる人は、少数派のようです。
それは「今まで医者達が無知でウソをついてた」ことがバレちゃうからですね。
だってサランラップと白色ワセリンだけで、早く綺麗に痛くなく、自分で治せちゃうんですから、既得権者のお医者さんとしては、死活問題なわけです。一種のイノベーションのジレンマ的とも言えるかも知れませんね。
純粋なビジネスエリアのイノベーションでは、抵抗しようがしまいが、好きか嫌いかにかかわらず、あっという間に淘汰されてしまうわけですが「医療」ってエリアは簡単にはいかないみたいですね。

著者は、日本形成外科学会認定医(専門医)を返上したそうです。Webサイトの中に「1992年に日本形成外科学会認定医(専門医)を取得していますが,2008年の四国での講演会で,座長を務めた徳島大学形成外科教授(=現在の日本形成外科学会理事長)に「こんな熱傷治療をしていると形成外科認定医として認めるわけにいかない!」と恫喝されるという事件があり,治療を止める訳にいかないので認定医を返上することにしました。」とありました。

【パラダイムシフトは信者が死ぬまで変わらない】
19世紀半ばまで、出産後の母親を襲う「産褥熱」の原因は解明されておらず、10%から30%程度、病院によっては半数位で産褥熱が発症し死亡していたそうです。ところが、産婆さんが取り上げたお産では産褥熱の発生が少ないことに目をつけたゼンメルワイスという人が「目に見えない何かが付着し、患者から患者へ伝播してるんじゃないか?」と疑い「石鹸で手を洗い出産に立ち会う」ことを提唱し学会でも発表したそうです。しかし、それは「もしそれが正しければ医師自身が殺人者だったことになる」という恐ろしい考えであると学会や医学会から激しく反発され、彼は失意のうちに発狂し生涯を終えたそうです。;;可哀想過ぎる。
1863年にパスツールの「腐敗の研究」で微生物の存在が明らかにされ、コッホにより細菌の存在が証明され、その後カメラや顕微鏡の発達により誰の目で見ても明らかにされる時代になって、最終的にリスターにより「消毒法」「滅菌法」「滅菌による感染予防」等が医学現場での必須となったんだと。このリスターさんの功績が素晴らしすぎて、「キズは消毒して乾燥させて」というのが一般化したまま、誰も疑いを持たなくなって現在に至るということらしいっす。

天動説と地動説も、理論や観測データ+望遠鏡等の発達により、地動説有利が明白となった後も170年位かかってやっと一般化したらしいっす。天動説で偉くなった学者とかは、死ぬまで反論し続け、その流れを組む子分たち(フォロワーですね)が死に絶えて、フォロワーがいなくなるまで明白な事実があっても常識とはならなかったそうです。

きっとゼンメルワイスさんの時代に、インターネットやblogがあれば、フォロワーはいくらでもいたろうに、彼は全身全霊を注ぎ学会で発表したにもかかわらず、抵抗勢力に受け入れてもらえず、失意の末、発狂して死んでいったという・・・。可哀想過ぎる話に参ってしまいました。

私はケガ治療のパラダイムシフトに、とっとと乗ってしまおうと決めました!
夏井さんには、きっとフォロワーがいっぱい来ますように!応援しちゃいますよ!!

コメント

  1. 「傷はぜったい消毒するな」の記事を探していて貴サイトに到達。歴史やパラダイムの話が変わらない現状のとてもわかりやすい説明で他では無かった物です。
    どうもありがとうございました

    返信削除
  2. >匿名さん
    自分のために要約書いちゃってるのでw

    ここで読んだことを元にして読むと、理解が深まること間違いないですから、買って読んでくださいね!

    機会がありましたら、また来てください。

    返信削除

コメントを投稿

このブログの人気の投稿

分譲マンションの全戸加入型インターネットとフレッツ光の 上手な共存方法があった!

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙, Letters from a businessman to his son.

リーダは自然体 無理せず、飾らず、ありのまま by 増田 弥生、金井 壽宏