ビジネスで一番、大切なこと「消費者のこころを学ぶ授業」 by ヤンミ・ムン





ビジネス成功の要は、競争力である。競争力とは、競合他社といかにの差別化できるかである。ところが、その差が細かくなりすぎて、多くの消費者がいぶかしく思う段階に達すると、ある日突然、差別化は無意味になる。(P.16)

ほとんどの企業は激しい競合ばかりに気を取られ、他社を見て欠点を補うばかりで異種のクローン(著者はこれを「異質的同質性」と呼んでいる)ばかりが溢れ返る製品カテゴリーを作り出している。お客さんはもう飽き飽きしているよ?とズバリ指摘され、ショックを受けないマーケッターは居ないですよね?

まさに「イノベーションのジレンマ」です。むかーし松下電工会長(当時)の三好俊夫氏も「強み伝いの経営は破綻する」
と言った(ビジネス・インサイト by 石井淳蔵 P.2)といいます。

知見のある先人達が、過去の歴史と自らの経験から語る言葉には重みがあります。私も「確かにそうだよなー」と思います。これらを知ると「どうせ苦労するなら、芽のある戦いがしたいよなー」って考えるようになるのは必然です。ほんとそう思います。

本書では「競合他社と完全に立ち位置を変えるためのヒント」として
①リバースブランド ②ブレークアウェー・ブランド ③ホスタイル・ブランド等のアイデア・ブランドが挙げられており、マーケティングに関わる人には、大いに参考となる本だと感じました。

おっさんメモ(ネタバレ注意)

【異端児のなかに、飛び抜けるものがいる アイデア•ブランドの三つの類型】

【①リバースブランド】
カテゴリー内の拡張傾向を無視する。何かを削って、何かが多い。
•リバースブランドは、ブランドの伝道師になる顧客を手にいれている。
•Yahooが盛り沢山になるのに対し、Googleはシンプル。トップに広告もなし、なんといっても高速。
•IKEA(アメリカ)には配達サービスも、組み立てサービスもない。店の場所は遠いし、組み立ても大変。
でも店での時間はディズニーランドのよう、自分で苦労して持ち帰り、組み立てた家具には愛着が沸く。

【②ブレークアウェー•ブランド】
カテゴリーの境界を飛び越え、製品の定義に挑戦する。顧客に別の枠組みを提示し、変容を促す。先入観を棚上げし、過去の体験にとらわれず試してみませんか?と招待している。
•AIBOは、一見ロボットのようだが、性能が不完全(ほとんど故障)だったため、言うことを聞かない。感動的で愉快で楽しいペットと理解された。道具である製品を玩具に変え、製品の欠陥(音声認識が働かず滅多に命令に従わない)を製品の便益(自分の心をもったベットなんだ)にかえている。
•サーカスにおけるシルク•ドゥ•ソレイユ、アニメのザ•シンプソンズ、高級スイス時計を日常のファッションアクセサリーにしたスウォッチ。
•意味論的には、本来のコンセプトに新たなコンセプトを付加することで得られる変化。非常にデリケートなプロセスで、有意義な比較ができるぐらいの原形を保ちつつ、妥当な違いを生み出せる程度の新しいものを加えなくてはならない。カテゴリーから離れない範囲で原型を保とうとする境界線の破壊者。
•要するに行儀良さのアンチテーゼであり、カテゴリーに対する私たちの前提を堂々と覆そうとしている。
•ロボット、スイス時計、スニーカー。などの馴染みあるものを、ベットやアクセサリー、ローラースケートなど、同じくらい馴染みあるものと組み合わせると、それ自体は変わっていなくても新鮮さを生み出せる。これがマッシュアップの法則。
•若い女性と老女のだまし絵のように、私たちが一度に見えるのは一つのイメージだけ。もう一つ見るには、意図的に焦点を変える必要がある。

【③ホスタイル・ブランド】
顧客を魅力する従来の原理の遵守を拒否する。消費者に媚びず、その気がないふりをする。歓迎のかわりに、挑戦状を叩きつける。
・たとえば、製品の欠点を素直に語る。製品が容易に手に入らなくする。心地良いプロモーションを拒否する。
・ひるまないブランドが強い愛着を得られる。私たちに手間暇をかけさせることも、そっぽを向かれることも恐れない。
・アメリカでは大きい車が好まれるが、2002年の新型ミニクーパの広告では「この車が小さすぎないかって?ほら、あなたが考えているより、ずーっと小さいんですよ」
とSUV車の上にミニクーパが乗せられていた。
・レッドブルの市場テストでは「色が薄くて飲む気になれない。口元はねばねばするし、嫌な味だ」と最悪だった。ナイトクラブやバーで人気が出始め、顧客は「液体コカイン」「缶入り覚醒剤」「液体バイアグラ」などと呼び始めた。原料は牛の睾丸だなどの噂も飛び交うが、同社は噂を揉み消そうとも不安を解消しようともせず、クチコミで興味を持たせる怪しげなアプローチをとり続けた。同社の態度は「心配なら、飲むな!」と一貫していた。
・マーマイトというイギリスの食品は、粘り気のある茶色のペーストで味に慣れるまで時間がかかる。キャッチフレーズは「好きか嫌いか」。TVCMにはマーマイトの塊が街を襲うものや、授乳中に母親がマーマイトを口にすると、赤ん坊が吐いてしまうというものがある。

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