迷走する家族「戦後家族モデルの形成と解体」 by 山田昌弘



戦後から高度成長期には「豊かな家族生活」という目標に向かって家族がひとつの方向を向いて生活できていたが、今は目標を見失い、更に先の目標に対しては、誰しもそうなれないということを、各種データで示す本。;; 身につまされながら読みました(´・ω・`)。
夢や希望や元気を失うので、オススメできない本だと思います。

しいて言えば、若い人は、取り返しがつくうちに「かけがえのない長期的信頼」に心して取り組むのもありかも知れません。

「お父さんは好きなことしてお金を稼いでいる、カコ(・∀・)イイ!!ー」位しか、バランスを保つ方法がわかりません。

【かつての家族=豊かな家族生活を誰でも手に入れられた】
  • 夫・サラリーマン、妻・専業主婦(共働きより効率が良かった)
  • 快適なマイホーム(頭金を貯めローンを組む)
  • 子供をより良く育てる(お稽古事や教育費、時にはレジャーも)
  • 実際、高度成長期には、家族生活は徐々に豊かになり、子供もより上の学校に通うこともでき、多くの家族は「豊かな家族生活」に近づいているという実感を持つことが出来た。誰でも少し「努力」さえすれば手に入る見通しが持てた。

【日本家族の現況=目標を見失い、次なる目標は誰しも容易に実現できるものではない】
  • 既に社会全体がある程度豊かになっており「豊かな家族を作る」ための適切な目標が見つからない。代わりに提示される目標は、全ての人が容易に到達できるようなものではないという事態。
  • 豊かな家族生活という到達点さえも実現できなくなり、家族生活が破綻するケースも出現し始めている(まさに我が家がそうです;;)。そして、今豊かな生活を維持している家族でさえ、将来維持できるかどうかわからない。(まさに;;)
悪い意味で、心にグサリと来たところをあげると、泣けてきます。

【家族への帰責=人並みの期待と家族への不満】
家族の期待は「人並みの生活水準が保証される」ことだが、減り続ける収入で将来に希望も目標も持てなくなっている。
 
夫「人並みに仕事しているのに家事をさせられる」「妻が家事・育児を期待通りにしてくれない」
妻「育児をしているのに、夫が人並みの生活をするのに十分な給料を稼いでくれない」「働きたくないのに、外で働かされる」
子「親がお金が少なくて、必要なものを買ってもらえない」「必要な世話を受けられない」
 
これらの期待への不満が「家族のせい(父親の稼ぎが悪いせい!)」と理由付けされたときに、家族に取って父親は「よくない」存在となる。;;

【家族から排除される人々の増大】
様々なケースで、「家族(かけがえのない長期的に信頼できる関係)」を求めても得られないケースが増大している。それは、ホームレス、そして家族を形成できなかったり、家族から見捨てられて一人暮らしをしている人々である。そして、形態上は家族生活をしていても、心の中では家族がいるとは思っていないなど、心理的に家族から排除されている人々の増大である。;;

【成長性のない家族はもはや「逸脱型」】
「成長性」という基盤が失われれば、戦後家族の標準モデルの存在が危うくなる。正確に言えば成長性のない家族は、もはや「逸脱型」なのである。ここでいう「成長」とは、経済的豊かさや感情的豊かさの継続的増大であり、さらに世代を越えて、自分の子供が自分よりも豊かになるということ。

【戦後家族モデルの解体】
社会学者ウルリッヒ・ベックは「個人化が進行し、家族という概念枠組みで社会や人間関係を把握することが難しくなる」と言っている。著者も家族の迷走期が始まっていると書いている。

【社会-経済構造の根本的変化】
「ニューエコノミー」の進展が、雇用の不安定化をもたらし、家族の経済基盤の不安定化をもたらすプロセス、そして、個人によってもたらされた自己実現イデオロギーが、現実的な家族モデルへの疑いをかきたて、非現実的な理想的家族モデルへのあこがれを生み出し、結果的に、人々の家族形成を困難にさせるプロセス、現代日本ではこの2つのプロセスが同時進行していると見ることができる。

【現代家族の閉塞状況まとめ】
  1. 戦後家族モデルの実現率の低下-男性の職が不安定化し、益々多くの人が戦後家族モデルから追い出されるようになった。
  2. 戦後家族モデルの魅力の低下-もはや若者のあこがれではなくなった。
  3. 戦後家族モデルに代わるモデルの不在、もしくは、実現不可能性-理想的家族モデルを実現できる人は、相当の能力、魅力と親、運などに恵まれた人に限られる。

こんな本でも、最後に希望を探っています。

【希望=家族をもちたいという人が減ったわけではない】
対策① 若者の将来における経済基盤の強化-すべての若者に対し、将来にわたってある程度の収入を得られる道をひらくこと。
対策② 社会制度から「漏れた」人々への支援プログラム
対策③ 多元的で誰でも実現できる「家族モデル」の創造

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