実践!多読術 - 本は「組み合わせ」で読みこなせ by 成毛眞
成毛さんの読書本です。著者は、一般的な読書効果としての「脳のトレーニング」をさらに積極的に推し進めた「賢者の読書」を提唱しています。夢見る力を養い、常識を疑う力をつけて、モノの見方を多面的にして視野を広げ、アイデアを豊かにするためには、適切な本を選んで多読を心がける、そして並列に読むことが大切と言ってます。
前半100ページほどに持論が書いてあり、後半は書評というスタイルの本です。ヒントになると思えることがいくつもありました。
・何百万年前の地質学の本の次に、十九世紀のパリの習俗の本を読む。その次にはアフリカの貧困問題について読み、さらに気候変動と人類の歴史の変遷について学ぶ。そのようにして意図的に乱読をすることで、自然と脳のいろいろな部分が鍛えられるはずだ。多角的な思考が身につき、視野が広がる。脳の使われる領域の切り替えも早くできるようになる。自分のアイデンティティは深まるのだが、近視眼的にならずにすむ。自然科学や歴史など関するさまざまな仮説を紐解くうちに、自然と常識を疑う癖がつく。そして、必然的に夢見る力が養われるはずだ。
・自分の立ち位置を変えることができるようになる。だから、複数の視点を持てるようになる。さまざまな立ち位置から、今自分が抱えている問題を眺めることもできるし、より簡単に、相手の立場に立つこともできるようになる。
・軍事本を使って、合理性と戦略論を学ぶ - マーケティングは第二次世界大戦時に発達したオペレーションズリサーチから派生している。そもそも軍事は科学よりも合理的で、軍事作戦であるから非合理なことは絶対に行わない。
・「賢者の読書」で準備して、人生のサイコロを振ろう - 運というのは確率論に支配される世界かもしれない。基本的にサイコロのアナロジーが使えるかも知れないのだ。そこでは、サイコロを振る回数を増やすことが重要になってくる。勝ちも来る。負けも来る。その回数をできるだけ増やして、買った時にはそれを大事にし、負けたときにはくよくよせずに忘れてしまうこと。良質の本を読むのもそうであるし、社内にだけ留まっているのではなく、社外の人たちと勉強会などを行うことも、サイコロを振っていることになる。取引先のエライ人に会う、親の友人たちと話をさせてもらう、講演会を覗いてみる、旅行もいいが、じつのところ昔ながらの人脈作りが一番いい。本も読まず、外にも出ず、身を屈めて一か所にじっとしているようでは、チャンスは決してやってこない。サイコロを振っていないのだから、決して当たらない。サイコロを振らないのだから失うものもないと考えるのは間違いだ。時間を失い、最も重要なチャンスを失い、得られたかもしれない幸せを失っているのだ。
・英語力で身につける論理的思考 - 英語のビジネスレターを読む、英語で報告書を書く、そのような機会があると、物事を論理的に考える習慣が身に付くようだ。じつはビジネスの報告書を書くのに、それほどの英語力は必要ない。月報などは高校生レベルの簡単な英語力で書けるのだ。そして、そのレベルの英語では物事を論理的に書くことしかできないのだ。
・テレビの政治評論家やキャスターたちのように、他人を批判し続けることは、クリエイティビティとは逆方向だ。新しいアイデアは人や情報の組み合わせから生まれることが多い。その人や情報を否定してしまっては、良いアイデアは生まれないのだ。むしろ素直に、無批判に、ただただ本を読むことで、膨大な知識が身に浸みるようについてくるし、クリエイティビティも磨かれるはずなのだ。
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