会社は変われる! ドコモ1000日の挑戦 by 魚谷 雅彦




元日本コカコーラの会長が、(当時)シェアを落とし続けていたNTTドコモを3年間で「お客様志向のマーケティング企業」に再生するプロセスを体系的に解説した本。マーケティングの極意が網羅されており大変勉強になる。個人的には、要所要所に「Marketing Eye」という62のマーケティングセオリーに関する解説が出ており、腑に落ちる解説がとても良いと思った。とにかく会社での仕事にズッポリ当てはまる。価値観を共有し、会社の変革を会社一丸となってやっていけたら、どんなにワクワク楽しく幸せなことだろうと思う。当社も変わらなければならないと強く思う。自分の残り少ない時間を賭けて挑戦してみたいと思った。

目次

プロローグ わたしたちは変わらなければならない!
ME1:問題を認識し、変革しようという意思(ミッション)をもつこと。

フェーズ① 現状を知る お客様起点の会社になろう!
ME2:消費財のマーケティングの世界では、まずお客さまから発想をはじめます。お客さまが何をいま満足に、あるいは不満足に思っているのか、それを探る。もしくは、お客さまも気づいていないようなニーズを見つけ、提案する。
ME3:お客さまのためにこうしたい、が最初にあって、次に技術部門ではそれをどう実現するのかを考える。

①何が問題かを知る お客様起点の発想はどこに?
ME4:既存のお客さまを大切にしない会社に、新規のお客さまが長く継続的にとどまるはずがありません。
ME5:新規のお客さまをとるためのコストと、既存のお客さまにお客さまでいていただくコストでは、はたしてどちらがたくさんかかるのか?
②組織の課題を知る SWOT分析で、組織の課題を明らかにする
ME6:組織というものは、うまくいっているその頂点にあるときから、つねに次の変革への準備を始めることが必要です。その改革の方向性を決めるのは、いつも「それはお客さまに起点になっているか?」ということです。

③変革しようという意思を共有する 社内キックオフで、変革への想いを共有する
ME7:ブランド変革をするのは誰か?
ME8:すべて、お客さまから発想し、何をすべきかを考え、それを実現するために、営業の方針や代理店政策をどうするべきかを考える。発想の順序を「プッシュ型」から「プル型」に変えなければいけない。それがブランドを変え、今の制度やしくみを結果的に変えることになる。

フェーズ② ビジョンを策定する わたしたちのあるべき姿はこれだ!
現在の自社ブランド価値を知る ブランド価値とは何か?」
ME9:競合の存在との関係性のなかで上がったり下がったりを宿命づけられているのが「ブランド力」です。同じ状態でじっとそのままいられるなどというのは、ブランドとしてはありえないことなのです。
ME10:お客さまと接する、すべての「コンタクトポイント」の量と質が、ブランドをかたちづくります。
ME11:大きな方向性や目指すべき価値観を共有し、それをブランド価値につなげてゆく。(マーケティングキーワードで総合的なアプローチという)

変革のターゲットを定める マーケティング変革とは経営改革だった!
ME12:ブランドそのものが誇りであり、モチベーションであり、チームワークの源泉であり、お客さまに対する自分たちの理念の表現です。
ME13:僕の考えるマーケティングとは、会社の大きな経営戦略の柱として企業全体で取り組むものであり、その活動を通じて無形資産であるブランドを高めることは、企業価値そのものを高めることになる。
ME14:マーケティング変革とは、企業全体で取り組まなければならない経営改革そのものなのです。
ME15:ブランドは経営のこころざしを表すものです。

ビジョンを作る 企業としての「あるべき姿」を再確認する
ME16:ビジョンは、その示すところを社員の一人ひとりが理解し、咀嚼して、日々の行動、すべての企業活動に反映されてこそ、意味をもちます。
ME17:「われわれのブランドはいかにあるべきか」「われわれのブランドはこれから、どんなふうに価値を高めていきたいのか」
ME18:「あるべき姿」の議論において方向性を定めていくのは経営陣でなければならない。
ME19:経営陣から発信してもらう。

ビジョンを表明する 企業としての「あるべき姿」を表現する
ME20:大事なプレゼンには、まさにマーケティング発想が必要です。
ME21:どうして「新ドコモ宣言」なのか、どうしてCI刷新、ロゴ変更なのか、大切なビジネスパートナーには、しっかり伝えておかなければならない。
ME22:ことばだけではだめなのです。「いいな」と思ってもらえるかどうかは、まさに感性の部分です。感性を刺激しなければ、思いは伝えられないのです。

フェーズ③ 戦略をつくり実行する お客様との絆をつくろう!
ターゲットを定義する これからのコア・ターゲットは誰か?
ME23:時代の変化、市場の変化のなかで、誰がこれからお客さまなのかを再定義する。
ME24:自社ユーザでない人にも聞く。自社にとって都合がよくないことも聞く。聞きたくない話も聞く。
ME25:顧客基盤も業績も、常に過去の産物にすぎません。
ME26:現在の顧客基盤や業績に固執すればその分、世の中の変化に気づけない危険が増します。

戦略の基本を決める ロイヤリティの高いお客さまを増やす
ME27:新規も大切ですが、既存顧客のケアはもっと大切になるということです。
ME28:満足したら、それで終わってしまうのです。そうではなくて、そこからブランドとつながる、新しい関係が始まるものでなければいけません。

戦略の枠組みをつくる 変革を実行・継続する仕組みをつくる
ME29:変革アクションを担う組織横断のチーム(クロスセクショナル・チーム)を結成する。
ME30:実行の権限を伴う組織でなければなりません。
ME31:社長が委員長となることで、委員会はオーソライズされている。

戦略をアクションにうつす お客さまにとってインパクトのあることから実行しよう!
ME32:「お客さま目線から見て、従来のやり方がほんとうに正しいものなのかどうか」
ME33:「どんなお客さまに持ってほしいのか、使ってほしいのか」
ME34:徹底的にお客さまを起点に考えることです。
ME35:お客さまの生活者としての価値観に合致すれば、その製品は確実に、お客さまの選択肢に含まれます。
ME36:つねにお客さまの目線にたてるか?
ME37:つねにお客さまの目線で、素人の目線で、できれば門外漢の目線で、「ちょっと待てよ」と考えてみる。
ME38:「費用」ではなく、顧客のロイヤリティを生むことで長期的にリターンをもたらす「投資」。
ME39:ロイヤリティという、はっきりと目指すものがあれば、こうして正しい判断ができるようになります。それが、お客様の支持を生みます。

組織を改革する 組織の構造をマーケティング志向に変える 

フェーズ④ 一人ひとりの意識を変える 社員の心を動かすインターナル・マーケティング
社員の意識を変える 社員の心にやる気の火をつけよう
ME40:マーケティングは、お客さまに向けたものだけではありません。社内の人や関係者をやる気にさせ、盛り上げてゆくもの。
ME41:こうしたちょっとしたことが、社員の意識を変えていくのです。
ME42:関係をよりパーソナルなものにすることです。受け手が「これは自分に言われていることなんだ」という意識をもてれば、モチベーションは大きく変わります。
ME43:小さなところからカルチャーを変えていくことが、じつは大きな変革につながっていきます。
ME44:変革は社員一人ひとりが行うのです。社員のマインドさえ変われば、間違いなく何かが変わっていく。カルチャーを変えていくことが、会社を変えていくことなのです。
ME45:些細なことのなかにこそ、じつはとても重要なことが潜んでいるものです。企業改革や風土改革の重要なヒントが隠されていたりするものです。
ME46:当たり前のことを、日常的に当たり前にすることから、すべては始まるのです。
ME47:変革の本質的な担い手は、個々の社員一人ひとりです。ブランド価値とは、そこに携わるすべての人がかたちづくっていくものです。

リーダーを育成する 改革の火を全国の現場に広げる

役員の意識を変える 経営陣自身が変わる姿を社員に見せる
ME48:経営陣が自ら変革のリーダにならなければ会社の変革などできない。
ME49:重要なのは、結論です。コミットメントです。
ME50:会議では、何を誰の責任のもとにいつまでに実行する、というアクションプランを必ず明らかにしなければなりません。

コミュニケーションを重ねる 現場の社員の生の声を聞く
ME51:トップは現場で起きていることを、細かなところまで把握しておかなければならないのです。
ME52:できるだけ変革の現場に近いところにいく。

自主的な改革を支援する 社員の提案が会社を動かす!
ME53:社員も経営陣もいっしょになってつくった宣言文、社員が、自分たちも当事者と思える宣言文、社員一人ひとりがオーナーシップをもてる宣言文、を作るのです。
ME54:お客さまの会社に対するロイヤリティは、社員の会社に対するロイヤリティの反映でもあるのです。
ME55:「お客様起点で物事を考えたときにこそ、それが結果につながるのだ」ということを実感できる体験をつねに積み重ねていくことです。
ME56:マーケティングの究極の目的は、お客さまとの絆、信頼感を深め、ロイヤリティをつくり、高めることです。
ME57:常に誰かが「それはお客さまにとっては、どうなんだ!?」という言葉を社内で放つ役割を果たさないといけません。
ME58:「ドコモの変革は、何か特別なことをするのではない。あなた方一人ひとりの日ごろの仕事のなかにある」

フェーズ⑤ 継続の仕組みをつくる つねにメッセージを送りつづける
ME59:何を目指すのがはっきりし、それが納得にいくものであれば、大きなパワーがそこに生まれていくのです。
ME60:物事を継続していくには、その過程を可視化する、シンプルな仕組みをつくることが重要である。
ME61:人も、会社も、方向性さえはっきりしていれば、見事に変われるのです。
ME62:トップが本気なれば、みんなも動く。

エピローグ ドコモはなぜ変われたのか?

著者は、良い方向に進み出せた要因について、次のように述べている。

「成功の背景」としては
①外部の人間を素直に受け入れてくれた社員の純粋さ
経営陣の度量の大きさ

「成功の要因」としては
①経営陣が自ら真剣に、危機意識を持って取り組み、行動を起こしたこと
②社員の中にすでに強い危機意識が潜在的に存在していたこと。
③現場にどっぷり漬かって、みんなといっしょにやろう。、と取り組んだこと。

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