コンサルティングとは何か by 堀 紘一




著者は、日本人で初めてハーバードMBAで金バッチを取ったという飛び抜けた方です。(上位2%の成績優秀者に送られる MBA with High Distinction 、別名 ベイカー・スカラー賞とも呼ばれているそうです)
三菱商事からハーバードMBAヘ行き、BCG(Boston Consulting Group)で経営戦略コンサルティングをやって、今は自身の経営戦略コンサル会社をやっておられる方です。
「日本で30年間経営戦略コンサルティングをやっているのは私一人だけ!」と豪語しておられます。出てくる顧客も超一流企業のそうそうたる歴史に残る経営者ばかり、といって自慢話が鼻につく感じでもありませんでした。なんといっても彼らの報酬は月額2千万~3千万円×4ヶ月間=1億円前後なんだそうです。私の思っていたIT系のコンサルとは、10倍くらい違いました(;´Д`)

「コンサルティング」という言葉程度しか知らない私には、本当にプロフェッショナルな経営戦略コンサルティングの世界が桁外れに凄いと感じられ、興味が湧いてあっという間に読んでしまいました。

いくつかページを折ったところをメモしときます。

(P.6) 「何が問題なのか」を探ることが最も重要。
→ 「イシューからはじめよ」にもありましたが、日々の仕事でも、問題の本質を見極めず/疑問を持たず、ただ闇雲にやる(作業する)だけでは、大した価値は生まないように感じています。

(P.38) 経験曲線(Experience Curve):累積生産数が2倍になるたびに、コストが2割下がるというBCGが提唱した考え方。TI(テキサス・インスツルメント)は、この考え方に基づき、電卓を安価に出荷し、最初は赤字を垂れ流したが、規模拡大に連れて大きな利益を得た。
→ これは製造業だけでなくサービスにも適用できると思いました。2回目をやると要領よくできますね。

(P.40) PPM(Product Portofolio Management):製品を市場成長率と相対的市場シェアで分類する、これもBCGが提唱した考え方。デュポンは、この考え方で事業を整理し、成長を加速させた。
→ どこかで見た覚えのある図です。ある程度の規模があれば、どんな事業でも、重点注力部分を決めるのに役に立つ考え方だと思います。

(P.134) 企業全体のパフォーマンスは、各部門のパフォーマンスの足し算ではなく、掛け算で決まる。
→ これは良い言葉だと思いました。ある部門が「一味違うな」と感じる会社は、どの部門もひと味違うということは、経験的に知っています。電話対応する女性がしっかりしている会社は、ひと味違うことを何度も見てきた気がします。

(P.142) ものになるコンサルタントの資質
①地頭の良さ(ピッチャーでいう 肩の強さ)
②素直さ(キャッチャーのサインに頷けるかどうか)
③努力できるかどうか
④打たれ強さ(3者連続ホームランを食らっても、4-3で完投勝利できる)
⑤運

(P.172) 自分の能力不足は、自分で痛感せざるを得ない世界。「Up or Out」
経営戦略コンサルティングの世界では、3年でマネージャ、7年でプリンシパル(バイスプレジデント もしくは 執行役員)。大抵の場合は、よほど鈍い人(私かも(;´Д`))でない限り、本人が一番自覚しており、7名中6名が辞めてゆく=「Up or Out(昇進するか 辞めるか)」
→ ほんとに一切の甘えがない命がけの真剣勝負の世界ですね。しかし、辞めて行っても、会社の経営層で成功する人が多いというのもうなずける気がしました。

(P.180) 徹底した現場主義がすべての基本=疑問があれば、まずは現場に出向く
自分の目で見て、自分の耳で聞くと、必ず何かを見つけられる。
→ 私の仕事でも全くそうです。サポート会等で、実際にお客さんのお部屋でネットを使ってる姿を見ると、常に新鮮な驚きや、学びがあります。最近経費節減で現場のサポート会に行かせてもらえないので、余計に感じます。><; おっさんの生きがいなんだよと。

(P.200) コンサルティングの「やりがい」
著者は、下記の3つの喜びがあるので、何ごとにも代え難く面白いそうです。
①限られた時間の中で、クライアントに納得してもらえるような戦略理論を構築できた時の達成感。
②クライアントにコンサルティングの価値を認めてもらえた時。
③提案した戦略をクライアントが実行して、成果が数字として現れてきた時。

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