シンプリシティの法則




MITでシンプリシティ コンソーシアムを立ち上げたというジョン・マエダさんのユーザインタフェースの本です。カバンに入れて持ち歩いて、合間を見つけては読んだのですが、そりゃもう本としてのユーザインタフェースにも、きめ細やかさが溢れてる良い本だと思いました。
・まずコンパクトで軽い(モチロン意図して軽い紙で製本されてると思います。サイズもちょうどよい感じ)
・章立てが分かりやすい(全体のこのあたりで、今ここなんだなーって、迷ってもすぐわかる。まさにプログレスバーと同じ効果)
・語呂合わせまで行き届いて覚えやすい 例)SHE (Shrink Hide Enbody)を"彼女は常に正しい"と覚えるといいよとか。
てな感じで、シンプルで分かりやすい行き届いた本ですから、分かりやすい。センスの良い、ストレスのないユーザインタフェースはこうあるべしというエッセンスがいっぱい詰まってます。スイスイ読めちゃうし、なんとなく頭に入ってくる本でした。この本読んでみると、ゴチャゴチャした、簡単に陥ちゃいそうな 勘違いユーザインタフェースにハマらなくて済みそうな予感がしました。

深く印象に残ったのは「寿司屋のおまかせ」についてのくだりです。
選ぶのって、むつかしくて、いろいろめんどくさいし、よくわからない。しんどい時がありますよね?
その対極にあるのが「寿司屋のおまかせ」です。寿司職人は、自分の経験とカンとプライドにかけて、そのお客が納得し満足出来るであろう選択を代理でし、それを味あわせてくれる。
お客はおおよその予算(余程苦手なものがあるならそれ)を告げるだけで、あとは完全に寿司名人にお任せする。名人は、顔色、反応、天候、その日の仕入、原価などを総合的に勘案した上で、全面的に責任を負って寿司を提供する。失敗したとしたら100%寿司名人の責任である。
これは世界的に見て、とても珍しく、商売としてはあまりにリスクが高いわけだが、寿司名人はあえてそれをするし、お客も「極上のおまかせ」を味わいたくて通うわけだ。
西洋料理にも「シェフのお薦め」は存在するが、それはあくまでも「メインディッシュは肉か魚か?」とかお客にも選択の余地が残されている。つまり「失敗してもお客と店の共同責任」とすることでリスクを回避しているが「寿司屋のおまかせ」には選択の余地はなく、100%寿司名人の責任である。
私もISPでお客様サポートする立場なので「君に100%お任せするよ」って言われると「よーし!期待を上回るサービスで頑張っちゃうぞ!」ってなります。この話みたいに「こういう名人になりたいなー」って感じがして、とてもとても印象に残りました。

ジョンマエダさんはMITのユーザインタフェース学者ですが「めんどくさい選択を全くする余地がない究極のおまかせの極楽さ」をわかっておられるし、体感なさってるわけですな。この例はマンtoマンインタフェースですが、究極のユーザインタフェースはこれに限りなく近い体験を提供できるマンマシンインタフェースであろうことは、私にもなんとなく想像できます。

私事ですが、ちょうどこの本を読んだあとに、とあるプロジェクトで、とあるシステムを作ったんですが、ショボイGUIはやめて、「TAB」形式=スプレッドシートみたいなやつにしてみたら、そりゃ分かりやすい使い易いやつになったので、儲かりましたよw この本、お薦めです。

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